2009年8月27日木曜日

ネックリセット修理 GRETCH NEW YORKER 1950年代


今回はネックリセットの修理模様をお伝えします。

モノは50年代のGRETCH NEW YORKER です。

このギターは、ネックヒールがボディから浮き、元起き状態で弦高高くなり、ブリッジ削り無理やりに
弾けるようにしてありました。

ネックリセットは、ビンテージにはよくある修理です。

この写真はGRETCHではありませんが、この様な状態でした。
いきなり仕事にかかってしまい、外すところまで写真に納めるの
忘れてしまっていました。

文章で説明します。

今回はこの様な隙間があったので、この隙間から
スチーマー(お掃除用の熱いの霧のでるやつです。)
でジョイント部の接着剤(ニカワ)を熱で溶かしながら、ギコギコと動かし抜きました。
Fホールでハイフレット指板は浮いているので、簡単に外れます。

フラットトップの場合は、また違うやり方ではずします。






























このネックにはトラスロッドはいっておらず、順反りだったため
まずアイロンを使って軽く逆反りに矯正しました。


















ダブテールほぞ、ほぞ穴ともノミで接着材を剥ぎ取り
きれいにします。















  



ほぞの側面に薄い板を貼り付けます。
この時、先端(穴の奥に入る丸くなった部分)は
まだおいておきます。















きれいに削ったほぞ穴の側面を鉛筆で黒く塗ります。
これは、ほぞのどの部分が当たっているか
確かめるためです。

















この様に、ほぞのきつい部分に黒く鉛筆が移ります。
ノミで削り奥まできっちり入る様調整して行きます。

















これは、非常にハマる楽しい作業です。


ぶへへっ!

だいぶ来ました。


















さてさて、これからが非常に大事な部分です。
先ほど置いておいたほぞの先っちょ部分。

ここがゆるいと、またネックが起きることになります。
今まで何本もリセットしてきましたが、
そのほとんどがこの部分がいい加減にされていたために
壊れていました。
接着材を多量に入れその場だけしっかり接着し、
実は、ほぞは中で泳いでいる仕事のものがほとんどでした。

数十年の時が経つと木と木がしっかり組まれていないと
接着材の接合では持ちません。
演奏時には70KGくらいの弦の引っ張り力がかかって
いるのですから。




このほぞは丸く処理されているため、写真の様な細い木片パーツを瞬間接着材で強固に
貼り付けていきます。




こんな感じです。



















そして、ほぞ穴の奥にも鉛筆で黒く塗り
ほぞを完全にほぞ穴とぴったり合う形に削って行きます。

今回継ぎ足した分、ほぞは中で
泳いでいたわけです。

経年による木の痩せもありますが、
ほとんどが隙間を接着剤で埋めて
処理した結果壊れています。












がっちり組み込み完了です。















液体ニカワ、或いはタイトボンドを使ってクランピング接着します。

これで、もう起き上がることもなく、ネックとボディに隙間がないので
音も確実に振動が伝わり良くなるはずです。


今回のネックリセット自体は料金的には1万5000円くらいでできます。
しかし現状の起き具合、元々の仕事の良し悪しにより、
外す方法、ほぞ組修理方法が変わってきますので料金も変わります。

それとリセットした後、必ず調整が必要になります。

今回のモノは一例として見てください。

ご依頼、お見積もりの際はできるだけ詳しい写真情報をいただけるとありがたいです。

ありがとうございます!!

2009年8月2日日曜日

ピックギター トップ落ち ヤフオク レストア その3

前回、緊急連絡で依頼主を探していた落下破損のJ-45 無事コンタクト取れました。

ほんと、お騒がせしました。

良い教訓になり、今は修理ギターカルテを作り、アナログ、デジタル両方で管理しています。



ではでは ピックギター トップ落ち ヤフオク レストア その3 です。


まずは、バックブレージングをはがし接着面を削り、

ボンドがしっかり吸い込んで接着できる下準備して接着。

ほこりやニカワの上からでは弱いですし、

fホール組んでしまうと修理できませんから。

念をいれてしっかりと。












アーチトップ部の反りの入ったブレージング作り、

fホールから クランピング接着。

その際、自然にトップをふくらませてやるために
あらかじめ湿度を与え、木の繊維をやわらかくして

表面乾かしてから

アールブレージングをクランピング接着。

いきなり無理に曲げると割ってしまいます。

これは、トップ浮き修理にも応用します。

割れ部もパッチをクランピング接着。





昔のギターによく見られますが、ライニングが薄い木一枚で
回っています。

ライニングとは、サイドとトップ、バックを接合するための
のりしろの様な役目の部材です。

薄い木1枚では接着面せまく、耐久性にかけると考え、
マホのクラシックギター用
ライニングをトップ側、バック側とも追加。


これでかなりしっかりした箱になるので、
修理前のポコポコ音からギンッと芯のある音になる事
を期待しています。







バックにもアーチがついているため、フラットバックの様な
クランピング接着は出来ないので、写真のような方法で接着しました。

なかなか厄介な作業でした。

無事に箱が組みあがりました。

クランプはずしてコンコンと響きを確かめると、
しっかりした予想通りの響きが返ってきます。


ぶへへっ! 楽しみです。