こんにちは。
北川木工です。
だいぶ暖かくなってきました。こちらではウグイスも鳴き出しやっと縮こまる寒さから開放されそうです。
この冬冷や汗ものの出来事ありました。
気付くと外はうっすら雪化粧。60年代のJ-50の修理終え、鼻歌歌いながら裸のJ-50抱えて工場からスタジオに運ぼうと歩き出しました。
雪道に出てすぐ何の前触れもなく ツルンっ!!
冗談みたいに体が宙に浮き、背中から着地。
気付くと、しっかりJ-50抱きかかえギター守って転んでる自分がいました。
おぉ ギター無事やった。良かった!
分厚いダウンがクッションになり体も無事。
ふ~ やばいやばい 何処で災難ふりかかるかわからんもんです。
以降、移動はハードケースに入れて、を心がけるようになりました。
こうしてチョットずつ学ぶのです。
さて、今回はこんなの掲載します。
反りくり返ったエリートのエポーレット。
それに部品が足りません。
Ovationのエポーレットは色々な種類の薄い無垢板を組み合わせて作られています。
接着が弱まると、こんな事になってしまいます。
これじゃ気になって演奏どころじゃないですね。
スクレーパーで剥ぎはぎ。
薄いのでちょっとこじると簡単に割れてしまいます。
通常のセルピックガードはドライヤーで暖めながら
スクレーパー入れると簡単にはがれますが、これは木なので暖め乾燥させると反って丸まってしまい再生できなくなってしまいます。
焦らずウニャウニャとだましだまし剥がします。
剥がし終えると見る見るうちに反って丸まっていきます。
カリカリに乾燥しています。
さて、どーするか?
なぜ、まるまるかと言うと水分が足りないからですね。
んじゃ、水分補給して伸ばしましょう。
濡れたタオルにエポーレット挟み、上下から板で挾みこみます。
最初はクランプかけず、板の重みだけ。
しばらく置いて木が柔らかくなったら濡れタオル外して
エポーレットだけを板で挟みこみます。
このとき板は柔らかく吸水性の良いもので。
すると乾いた板が、エポーレットの水分を吸い取っていくのです。
無理なくエポーレットも伸びます。
押し花みたいな要領ですね。
反対側のエポーレットも端っこが浮いてきています。
こちらほどひどくないので、剥がさず接着します。
端っこの接着のコツは、写真の様に瞬間接着剤を紙に少量付け、浮いた隙間に滑り込ませ塗りつけます。
量多くてはみ出たら、すばやくラッカーシンナーでふき取ります。瞬間接着剤は乾くまではラッカーシンナーに溶けます。
しばらくクランピング。
ピンッと伸びた押し花エポーレット。
これで修理できます。
前に付いている接着剤を剥がします。
まだ粘着性が残り、サンドペーパーで削れないのでラッカーシンナーでふき取ります。
これしっかりやっとかないと、上から付けてもまたすぐに剥がれてきます。
新しく接着するときは、前の接着剤を完全に取っておく。これは他の作業にも言える鉄則です。
手持ちの他のエリートから足りない分の型を取ります。
ファイル挟む薄いポリ板使いました。
少し形も、継ぎ合わせも違います。
この頃のは、きっと手作りでわりと適当に作っているのでしょう。
エポーレットと同じ厚みのマホガニーの薄い板を作って型取ったポリ板貼付け、糸鋸で抜きます。
新しいパーツの端っこを面取した綺麗に処理し、剥がしたのと一緒に貼付けます。
このときの接着は特殊、超強力な両面テープ使いました。
圧着するとポリエチレンも接着できるやつです。
最近の両面テープはすごく沢山の種類あり、テープの域超えて接着剤としての機能あります。
ホールの正円は大きめに残し接着してから、トリマーの目ち払いビット使いました。
クランピング圧着して新しいパーツに葉脈書き込みウレタンのツヤ消し塗料ぬり完成です。
ほとんど詐欺のような仕上がり!
料金は8000円頂きました。
今回は木工屋さん仕事でした。
ここに掲載しているのは見ていただいた方が飽きないように変り種で過去掲載の仕事と重複しないものを選んでいます。
ほんと色々な仕事がやって来ます。
ネタは尽きないです。
ありがとうございます!
2010年3月18日木曜日
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