2010年3月28日日曜日

ピックギター トツプ落ち ヤフオク レストア その4

こんにちは北川木工です。
いよいよピックギターレストア最終回です。

やっとこやっとこ出来上がりました。仕事の合間に少しずつ進めて10ヶ月。

前回はライニング付けて、箱組み上がったところまで掲載しました。
では続きの始まりはじまり!

箱の組みあがったオリンピアちゃん。

ボディ表面に塗りたくられていたペンキ剥がし、どんなサンバーストにするか思案中。


















ネックは丸太の様に太くて、とても低音親指で押さえるなど不可能だったので、ネック形状も変更!

親指回り込む様に削り込みました。
そうすると絶対的に強度が心配。
トラスロッド仕込める様に指板も剥がします。

プレイヤビリティ高めるためにメッチャ本気です。













バック板は経年変化で縮み、サイズ足りなかったので桧のバイディング、パーフリング作り、トリマーで溝付け足りずの分辻褄あわせました。
結果的に接着面積も増え丈夫です。
















綺麗に巻き込めました。




















Fホール回りの面取り。
単板のしるし!



















塗装にかかります。
デザインは裏側たぬきのサンバースト。
表はサイケデリックサンバーストに決定!

バンチャクという染料を使ってガンでバーストの染めていきます。





































ぶひひっ!ええ感じ。
50年代ビンテージの雰囲気そこなわぬ、濃い~仕上がり。



















トラスロッドの溝をトリマーで掘込み、ロッド仕込みます。

このロッドは順反りにも逆反りにも対応する最新版。
箱に囲まれていてネックに固定しなくても単体で動きます。

大和マークに売ってるよん。

指板もバンチャクで染接着。
フレットも仕込んでいよいよセットアップです。











元々のブリッジを仕込みます。
かつてはこの足元に板が張り付けられ、トップ落ちの高さかせぎしてあったのですが、それ剥がし仕込み直しです。
トップ養生して、ブリッジ乗る面にサンドペーパー敷、トップのアールに合うようブリッジの裏を削っていきます。
最終的にこのブリッジは変えることになるのですが・・・








組み上げ音出ししてみると、桧で出来たアジャスタサドルでは柔らかすぎるようで、音がぼけているので弦との接地に牛骨サドルを組み込みました。

さて試し弾きです。
バカでかい音です。すごくサスティーンも効き、まるでアンプから出ているような音がします。
元のポコポコの音とは別次元の音!
ボディ内部の強化大成功です。
しかし・・・気にいりません。
音が硬すぎる。ギンギン硬い音ばかり前にたちます。
桧の柔らかい音が消されてしまっています。
なぜか?

ブリッジがでかすぎるのではないか?
テールピースもかなりでかいです。このサスティーンはこのテールピースの影響で出ていると思われます。




サスティーン残したまま柔らかい暖かい音にするにはブリッジを幅狭く接地面を小さくしようと考えました。
ローズウッドでブリッジの足製作。幅狭くしてトップのアールに合うよう削り直し。
















結果、見事に予想的中!!

リバーブの効いた独特のピックギターの音に加え柔らかい深い音も加わり、操作性も1弦12F1.5mm

まんぞく 満足 やったね!

んでもって 音源アップです。
今回はロードのコンデンサマイク~BOSSループステーション~Rolando AC100をSonyのICレコーダでループ遊び録音。

こうして夜は更けていく。

ありがたいことです。
きっとOlimpiaも喜んでくれています。
じっちゃん これからも遊ぼうね。

2010年3月18日木曜日

Ovation オベーション Elite エリート エポーレット ピックガード 修理

こんにちは。
北川木工です。
だいぶ暖かくなってきました。こちらではウグイスも鳴き出しやっと縮こまる寒さから開放されそうです。
この冬冷や汗ものの出来事ありました。
気付くと外はうっすら雪化粧。60年代のJ-50の修理終え、鼻歌歌いながら裸のJ-50抱えて工場からスタジオに運ぼうと歩き出しました。
雪道に出てすぐ何の前触れもなく ツルンっ!!
冗談みたいに体が宙に浮き、背中から着地。
気付くと、しっかりJ-50抱きかかえギター守って転んでる自分がいました。
おぉ ギター無事やった。良かった!
分厚いダウンがクッションになり体も無事。
ふ~ やばいやばい 何処で災難ふりかかるかわからんもんです。
以降、移動はハードケースに入れて、を心がけるようになりました。

こうしてチョットずつ学ぶのです。

さて、今回はこんなの掲載します。

反りくり返ったエリートのエポーレット。

それに部品が足りません。
Ovationのエポーレットは色々な種類の薄い無垢板を組み合わせて作られています。
接着が弱まると、こんな事になってしまいます。
これじゃ気になって演奏どころじゃないですね。










スクレーパーで剥ぎはぎ。
薄いのでちょっとこじると簡単に割れてしまいます。

通常のセルピックガードはドライヤーで暖めながら
スクレーパー入れると簡単にはがれますが、これは木なので暖め乾燥させると反って丸まってしまい再生できなくなってしまいます。

焦らずウニャウニャとだましだまし剥がします。



剥がし終えると見る見るうちに反って丸まっていきます。
カリカリに乾燥しています。
さて、どーするか?
なぜ、まるまるかと言うと水分が足りないからですね。

んじゃ、水分補給して伸ばしましょう。








濡れたタオルにエポーレット挟み、上下から板で挾みこみます。
最初はクランプかけず、板の重みだけ。
しばらく置いて木が柔らかくなったら濡れタオル外して
エポーレットだけを板で挟みこみます。

このとき板は柔らかく吸水性の良いもので。
すると乾いた板が、エポーレットの水分を吸い取っていくのです。

無理なくエポーレットも伸びます。
押し花みたいな要領ですね。









反対側のエポーレットも端っこが浮いてきています。
こちらほどひどくないので、剥がさず接着します。

端っこの接着のコツは、写真の様に瞬間接着剤を紙に少量付け、浮いた隙間に滑り込ませ塗りつけます。

量多くてはみ出たら、すばやくラッカーシンナーでふき取ります。瞬間接着剤は乾くまではラッカーシンナーに溶けます。





しばらくクランピング。














ピンッと伸びた押し花エポーレット。
これで修理できます。












前に付いている接着剤を剥がします。
まだ粘着性が残り、サンドペーパーで削れないのでラッカーシンナーでふき取ります。
これしっかりやっとかないと、上から付けてもまたすぐに剥がれてきます。
新しく接着するときは、前の接着剤を完全に取っておく。これは他の作業にも言える鉄則です。







手持ちの他のエリートから足りない分の型を取ります。
ファイル挟む薄いポリ板使いました。
少し形も、継ぎ合わせも違います。
この頃のは、きっと手作りでわりと適当に作っているのでしょう。










エポーレットと同じ厚みのマホガニーの薄い板を作って型取ったポリ板貼付け、糸鋸で抜きます。












新しいパーツの端っこを面取した綺麗に処理し、剥がしたのと一緒に貼付けます。
このときの接着は特殊、超強力な両面テープ使いました。
圧着するとポリエチレンも接着できるやつです。
最近の両面テープはすごく沢山の種類あり、テープの域超えて接着剤としての機能あります。

ホールの正円は大きめに残し接着してから、トリマーの目ち払いビット使いました。










クランピング圧着して新しいパーツに葉脈書き込みウレタンのツヤ消し塗料ぬり完成です。
ほとんど詐欺のような仕上がり!

料金は8000円頂きました。

今回は木工屋さん仕事でした。

ここに掲載しているのは見ていただいた方が飽きないように変り種で過去掲載の仕事と重複しないものを選んでいます。

ほんと色々な仕事がやって来ます。
ネタは尽きないです。

ありがとうございます!

2010年2月19日金曜日

1986 Martin D-28 セル バイディング バインディング パーフリング 剥がれ 修理

こんにちは。
今回は少しビンテージMartin D-28のバイディング剥がれ修理を紹介します。

このギターはあちこちの楽器屋さんに修理断られ、こちらに持ち込まれました。
古いギターのバイディング修理は厄介です。
新しいバイディングに変えてしまうなら、まだやりやすいのですが、古いパーツをもう一度
付け直し再生するのはかなり厄介です。

その上・・・・

これ見てください。
接着剤がはみ出てるの見えますね。

これ瞬間接着剤なんです。

バックボディに指紋いっぱいついてますね。

これも瞬間接着剤です。

どこかの自称リペアマンに依頼してこのように
されてしまったらしいです。

アセったでしょうね。もうムチャクチャです。
私も出来れば断りたかった。

これからやる作業工程をシュミレートし、深いため息つきました。

やりましょう。 Martinさんが助けを求めています。

まず、バイディング、パーフリングを外していきます。
これらは、通常セル専用ボンドで接着されています。
私はセルボンという商品名のものを使っています。

このセルボンという接着剤は、ラッカーシンナーに容易に溶け、セルバイディングの表面を溶かし
癒着させて接着するという特性があります。

新しいものに変えるなら、トリマーを使って削り取ってしまえばすみますが古い味わい残したい
という当然の依頼のため、綺麗に使えるように剥がさなければなりません。
幸いにも劣化してあちこち剥がれているため、初めのきっかけを作らなくてすみ、まだましでした。

カッターナイフの先をラッカーシンナーに浸けバインディングとパーフリングの間に
潜り込ませ、ゆっくりボンド溶かしながら隙間広げ剥がして行きました。

ここで気をつけなければならないことは、
マーチンの塗装のセルロースラッカーも、簡単にラッカーシンナーに溶けてしまう事です。
ギター本体表面にシンナーが付かないよう細心の注意がいりました。

こうして、バインディング、パーフリングとも剥がしました。














セルボンで表面が溶けた断面はこんな様子です。


バインディングとパーフリングも同要領で剥がして
いきます。











さて、何とかバインディングもパーフリングも割らずばらせました。

次は、忌々しい瞬間接着剤の処理です。
瞬間接着剤はセルは軽くしか接着出来ないようです。
バインディング剥がれ修理しようとする方、気をつけてください。
ましてや、このような事になる前に相談して下さいね。

手作業で慎重に削りとるしかありません。
パーフリングの細い溝は大変でした。
本体傷つけぬよう、次のセルボンが確実に乗る
よう、削り過ぎて角度つかぬよう、カスが残らぬ
よう・・・
ふぅ~ です。






バックやサイドのあちこちについた指紋の瞬間接着剤も水研ぎペーパーの2000番、4000番、
コンパウンドと順にかけきれいに削り取りました。

バインディングとパーフリングにこびり付いているセルボンと瞬間接着剤も削り取らなければ
なりません。
前の接着剤が残っていると、そこに隙間ができ接着力が弱くまたすぐ剥がれます。


カッター、ノミを横摺りにして表に出ない
3面を綺麗にします。
表に出る面はビンテージ焼けで黄色く
変色しているので、これを傷つけないように
丁寧に作業します。
変色した部分を生かすために遠回りしているのですから。







さて、いよいよ最難関の貼付け作業です。

先ほども説明したように、マーチンのセルロースラッカーはシンナーがついてもセルボンが
ついても簡単に溶け塗装が剥げてしまいます。
はみ出た接着剤をシンナーで拭き取ることはおろか、接着剤をはみ出させることすら出来ません。

バインディング、パーフリングの接着はたっぷりセルボンを付けはみだしたのをシンナーついた
布で拭き取る、または乾いてからサンディングするのが常套手段ですが、
それは出来ないのです。
通常ギター作るときは、塗装前にバインディング付けるので削ったり、拭いたりできるのですが。

ですから、一気にセルボン塗り、バインディング貼り付けることは出来ません。


このような方法とりました。
なぜたっぷりセルボンつけるのかと言うと、
少量では木が吸いこんでしまい接着しないからです。

そのため、まず一度シンナーで溶かした薄いセルボンを塗り木に吸い込ませドライヤーで乾かし、次に原液を塗り指で押さえて接着しながら、少しずつ進んでいくという方法です。
パーフリングの幅2ミリ ここに細い筆でセルボンを
押さえてもはみ出ぬギリギリの量塗り、指で押さえて
接着しながら少しずつ進む。

これしかありませんでした。



ようやく一回りすると・・・・

足りん!!!
そうなんです。
長年経過したパーフリングは経年劣化で縮短く
なっているのです。










ジャンク部品取りに用意している古いギターから同じようなパーフリングさがし剥ぎとり、継ぎ足します。















バインディングも同じ要領で接着します。













当然こいつも短い。
また別のジャンクギターからバインディング剥ぎ
隙間ちょうどに切り加工して出来上がりです。











バインディングはこのように押さえながら進めました。

ふぅ~ ちかれた。
老眼の出だした目はしょぼしょぼ。
肩はパンパン。

下の写真がリペアのビフォーアフターです。
満足いく上がりです。

料金は25000円

でも、あんまりやりたくないです。