2009年5月15日金曜日

S.YAIRI YD 305 ブレージング折れ、トップ板割れ

S.YAIRI 1970年代

このギターはお客様より下取り目的で持ち込まれたものでした。
50歳位の方で、高校生の時買われたファーストギターだそうです。
かなり弾きこまれ、トップは歴戦の傷、割れをボンドで補修しようとしたにじくりなどでぼろぼろ。
以前楽器屋で下取り査定したところ3500円と言われたと言うことでした。

ボディを指でコンコン叩きブレージング外れ確認したところ
明らかに外れ症状あり。

トップ浮きとサウンドホール周りへこみの軽い症状がでています。
(後で考えてみると、よくこんな症状で済んでたもんだ)
それでもこのままで弾いておられました。

試しに1音下げでチューニングして鳴らしてみてびっくり!!
なんじゃ こいつは!
これは最近修理した70年のマーチンD35より鳴るかも!!
ちゃんと修理してやればすごいもんになる。


私の中で悪魔が囁きます。
こらめっけもんやで!
この鳴りならビンテージ音欲しい奴にすぐ売れる。
安く下取ってもうけもうけ!ブヒヒ・・・

でも、この邪念を打ち払い正直に伝えました。
これは売ったらあかん。
お宝ですよ。
それも、あなたが40年近く育て上げてきた。

そうして、修理することになりました。

<修理内容>

トップ板割れ     パッチ6枚

ブレージング折れ   2本

この割れは、数年前に酔っ払って弾いていて、酒取に行こうと
ギターを横に寝かし立ち上がったところ、
ふらついて踏んでしまったらしいです。
で、えらいことやとその勢いでボンドを表裏にすりこんだということでした。
いざ修理にかかってみると、この処置がものすごく邪魔になりました。
どころか、この作業が最も時間かかりました。

このなすりつけられたボンドを削り取らないと、
きちんと強度を保たせる適性な修理ができないからです。
サウンドホールから手いれて板裏に適当になすりつけられた
固まったボンドを削り取るなんて、腕が壊れるのではないかと
思うような大変な作業です。

お願いです。
大切なギターが壊れた時は、
自己判断で適当な処置しないで壊れたままの状態で、
弦ゆるめ力かからない状態にして相談してください。

ブレージング折れ   2本

Xブレージングが2本とも折れていました。
(そら、踏んだらあかんわな・・)

サドル製作

溝より薄いプラスチックサドルが入れられ前に傾き、
ピッチがむちゃくちゃでした。

フレットすり合わせ

全体調整

トップ板の塗装修理はやりませんでした。
長年の思い出そのままに・・・

弦高2ミリまで仕上げ、弾いてみると予想通りの激鳴り!!
すばらしい乾いたビンテージ音、腹にくる低音、
伸びるサスティーン。
あ~ これマイギターにしたかった。


     修理代金総計   31000円

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