2009年5月15日金曜日

ギグパッカー GIG  ブレージング外れ ブレージング浮き

今回は、黒澤の ギグパッカー の修理です。

ギグパッカーはナイロンとスチールモデルがあり、
オール単板でミニギターながらフルスケールを持ち、
音良く、使えるギターです。

この個体はビビリ音がします。と持ち込まれました。
旅のお供にいつも連れられて、良く弾きこまれています。
調べてみると、やばっ! バックブレージング外れています。
それもあちこち。



手はまるで入りません。どうやって調べるか?
そこでこんな道具作りました。



この先っちょでブレージング貼り付け部さぐり、
浮き具合調べました。
あかん!全部浮いてる。
バックブレージング4本、各ブレージングとも真ん中だけ
付いて端6箇所外れていました。

持ち主と連絡取り相談。
本来ならバック板外して、修理、組みなおしが最適ですが
予算的に3万ほどになり、ちょっとオーバーのため
バラさず修理することにしました。

手が入らないので、先ほどのジグを使い1箇所づつ
タイトボンド潜り込ませて行きます。
丁寧に、何度も。
余分にはみでたボンドもジグにウエスを巻きふき取り。

ブレージング押さえるのも通常方法では無理なので
場所に応じて考えました。



2日に一箇所のペースで2週間かけて完了。

ビビリ、ばたつき治まり、またあちこち旅のお供に連れられて
活躍しています。   めでたしめでたし。

修理費用 18000円

アストリアス ソロ トップ浮き 特殊サドル ピエゾ

アストリアス ソロ スタンダード

シダートップ、ローズサイドバック、スキャロプドブレージング
のソロスタンダードです。
この個体はブリッジ周りトップ浮き激しく、
エキストラライトゲージでノーマルチューニングしても
11mmほどの浮きが出、チューニングも安定せず怖い状態でした。
最初ブレージング外れによるものかと確かめましたが、
そうではなく、どうやら過度のスキャロプドによる強度不足のようです。
トップの浮き方から強度を必要とする場所、方法を判断し、
鳴りを損ねないよう強度を保たせるための
追加ブレージングの形状を考え修理を施しました。
まず浮き癖を独自の方法で伸ばし平らな板に戻し、
この個体にはブリッジプレートのすぐ下に、真横に、
薄い高さのあるシダー材を使って特殊な形のブレージングをつくり修理しました。
(TACOMA EMシリーズで使われている様な薄く高さがあり、
独特のスキャロプが施されているブレージングにしました。)


現在フォスファーライトゲージを張って安定しています。
フレットすり合わせ全体調整し弦高も下げ、1弦12F 1.7mm
操作性ばつぐん!
鳴りはすごいです。修理前も良く鳴りましたが、
ラダーブレージングギターの様な軽いポンポン鳴り
だったのが、芯のある深い鳴りになりました。
アストリアス出荷時の鳴りはおそらくこれだったと思います。
特に中高音のサスティーンは素晴らしいです。

ライブにも持ち出そうとピックアップを考えました。
深いサスティーンと箱鳴りを生かしたかったので
コンデンサマイクとピエゾのブレンドが合うと思い
Shadowのシステムを手にいれました。

ところが・・・



ロングサドルのソロは溝が浅く、ピエゾ仕込むとサドルを
保持する深さがなくなるため、特殊な形のサドルを考案しました。
リボントランデューサやナノフレックスならこんな必要はないのですが・・



ぶへへっ! なかなかイカすでしょ!
凹部のストレート出すのは技がいりました。


無事仕込み終え音出しすると、ピエゾのジャリジャリ感が
強すぎ好みの音ではなかったのでまたまた一工夫。
ピエゾとサドルの接触部にちょいと仕掛けをしてピエゾの音をマイルドにします。
これはピックアップ取り付け依頼のお客さんに、取り付け後の
試し弾きしてもらい、ピエゾ音が強すぎが好みではない方によく施します。
パワーも落ちず、生音にも影響感じられず、ライン音も
マイルドで使いよくなるので好評です。

ライブにも持ち出し、高い戦闘能力を確認しました。

このソロスタンダードはしばらく手元に置いておきます
のでトップ浮き修理後生音損傷のない確認やピエゾの音
の違いなどご確認いただけます。

この修理を依頼されてやるとしたら

トップ浮き修理         15000円

弦高さげ、フレットすり合わせ
全体調整             6000円

特殊サドル製作          5000円

ピックアップ取り付け      サービス

くらいでできます。

Stafford OMC500 ヤフオク ネックリセット

久々の更新です。
あっという間に一月以上たってしまってます。
修理依頼は多く、ブログネタはたくさんあるのですが、
毎日ギター修理にエネルギーそそぎこんで、ブログにまで回らない現状です。
こんなペースで勘弁してやってください。

今回は スタフォード OMC500
こいつは、時代を先取りしてハムとピエゾのブレンダー
を取り入れたなかなか画期的なエレアコでした。

お客様から「ヤフオクで手に入れたのですが、
こんな状態でした。修理できるでしょうか?」
と持ち込まれました。
 



その上、ピックアップ鳴らず、探ってみると電池液漏れでボックスすら
開きません。


オークション上の説明とはまるで違うくそジャンク
かわいそうに。楽器の機能すらない。完全に死んでいます。
返品要求してもノーリターンで押し切られ後は無しのつぶて。

最近多いです。この手の依頼。
オークションで手に入れたけど・・・ってのが。

脱線しますが、ちょっとご一考を。
みなさんがもし出品するとして、お気に入りのメインギター
出品しますか? いくら金欠で とは言え売ってもしれたモノ。

ギター好きの人は数本持ってて当たり前ってところですが
やはり出品するのは気に入らなくなったモノからですよね。
それか、何か訳ありのモノ。

騙す奴もいっぱいいるんです。
買う方は説明信じるしかない・・・

よーく考えて手にいれましょう。
すぐそのまま使える確立はめっちゃ低いです。
最低 調整くらいは覚悟して。

修理しました。
高音部指板も浮いていたのでネックは簡単に外れました。



付いていた接着剤をノミできれいに剥がし、
ダブテールジョイントのメス部に薄い板をかまし
ネック角度みながら微調整し接着。

ピックアップばらして配線しなおし手持ちであった電池ボックス移植。
みごと復活!プリアンもハムもピエゾも単独で生きていました。
良かった。

後は調整のフルコース。
弦高1.9mmに仕上がり、生き返りました。

修理費用  23000円

S.YAIRI YD 305 ブレージング折れ、トップ板割れ

S.YAIRI 1970年代

このギターはお客様より下取り目的で持ち込まれたものでした。
50歳位の方で、高校生の時買われたファーストギターだそうです。
かなり弾きこまれ、トップは歴戦の傷、割れをボンドで補修しようとしたにじくりなどでぼろぼろ。
以前楽器屋で下取り査定したところ3500円と言われたと言うことでした。

ボディを指でコンコン叩きブレージング外れ確認したところ
明らかに外れ症状あり。

トップ浮きとサウンドホール周りへこみの軽い症状がでています。
(後で考えてみると、よくこんな症状で済んでたもんだ)
それでもこのままで弾いておられました。

試しに1音下げでチューニングして鳴らしてみてびっくり!!
なんじゃ こいつは!
これは最近修理した70年のマーチンD35より鳴るかも!!
ちゃんと修理してやればすごいもんになる。


私の中で悪魔が囁きます。
こらめっけもんやで!
この鳴りならビンテージ音欲しい奴にすぐ売れる。
安く下取ってもうけもうけ!ブヒヒ・・・

でも、この邪念を打ち払い正直に伝えました。
これは売ったらあかん。
お宝ですよ。
それも、あなたが40年近く育て上げてきた。

そうして、修理することになりました。

<修理内容>

トップ板割れ     パッチ6枚

ブレージング折れ   2本

この割れは、数年前に酔っ払って弾いていて、酒取に行こうと
ギターを横に寝かし立ち上がったところ、
ふらついて踏んでしまったらしいです。
で、えらいことやとその勢いでボンドを表裏にすりこんだということでした。
いざ修理にかかってみると、この処置がものすごく邪魔になりました。
どころか、この作業が最も時間かかりました。

このなすりつけられたボンドを削り取らないと、
きちんと強度を保たせる適性な修理ができないからです。
サウンドホールから手いれて板裏に適当になすりつけられた
固まったボンドを削り取るなんて、腕が壊れるのではないかと
思うような大変な作業です。

お願いです。
大切なギターが壊れた時は、
自己判断で適当な処置しないで壊れたままの状態で、
弦ゆるめ力かからない状態にして相談してください。

ブレージング折れ   2本

Xブレージングが2本とも折れていました。
(そら、踏んだらあかんわな・・)

サドル製作

溝より薄いプラスチックサドルが入れられ前に傾き、
ピッチがむちゃくちゃでした。

フレットすり合わせ

全体調整

トップ板の塗装修理はやりませんでした。
長年の思い出そのままに・・・

弦高2ミリまで仕上げ、弾いてみると予想通りの激鳴り!!
すばらしい乾いたビンテージ音、腹にくる低音、
伸びるサスティーン。
あ~ これマイギターにしたかった。


     修理代金総計   31000円

GIBSON J-45 1962 アジャスタブルブリッジ 牛骨埋め

  <修理内容>

大阪の某有名ビンテージ楽器店で購入され、アジャスタブルブリッジ改造のため持ち込まれました。

アジャスタブルブリッジ改造
サドルがねじにより自由に上下できる構造がアジャスタブルブリッジです。
この構造はサドルとトップ板の間が金属のボルトナットで支えられ隙間ができるため、振動が完全に伝わらず独特の音色になります。
多くのプレイヤーは、より良い音を追求してブリッジを通常タイプに張替えられますが、
今回、オリジナル状態にもすぐ戻せる方法で振動を完全に伝えられる方法を考えてみました。
それは、隙間と同じ寸法に牛骨を埋め込む方法です。
結果 音は劇的に変わりビンテージ特有の乾いた音に芯のある振動が完全に伝わっている音がプラスされ、またオリジナルにもすぐ戻せ、料金も安く良い改造ができました。
オーナーの方にもご満足いただけました。

トップ割れ 9箇所
楽器店では完全修理済みということで購入された様ですが、見てみると表からタイトボンドが刷り込んであるだけで、割れがすでに開きつつあり修理とはいえないものでした。
裏からパッチをあてすべての割れを補強しました。
・パッチ修理・・・トップ板の木目に対し、垂直の木目を使った木片を振動を妨げない形に削り、裏から割れ部に貼り付ける修理。

ブレージング外れ
バックセンターのブレージングが浮いて強度が保たれていませんでした。

フレットすりあわせ
フレット交換済みで購入されましたが、シビアな弦高にするとあちこちビビリが出るため、すり合わしました。
これで1弦12F1.9mmのシビアな弦高にできました。

全体調整


  修理費用総額  24000円 

  

YAMAHA FG-500 弦高下げ

  <修理内容>

弦高下げ、ブリッジ弦出角加工
サドルを削り弦高を下げる場合、サドルが低くなり過ぎると弦がサドルを抑えられなくなり
サドル上で簡単に動いてしまい、鳴らなくなってしまいます。
ブリッジピンからサドルへの理想的な出角は45度くらい必要です。
これをクリアするためにブリッジを少し改造します。


これはFGー500のブリッジではありませんが、弦の出角参考にして下さい。

全体調整、サドル加工(ピッチ調整)
やたらにトラスロッドを利かせ、サドルを削って弦高を下げても、オクターブピッチが無茶苦茶(フレット音痴)になり、そのギターが持つ本来の性能を引き出せません。

フレットすり合わせ

ブレージングはがれ 2本


ピックガード製作

ボディ磨き、指板オイル、新弦
    
    修理費用総額  17000円

Giannini ブラジル 1970 トップ浮き、トップふくらみ修理

<修理内容>
トップ浮き、トップふくらみ
アコースティックギターのレギュラーチューニング時の弦の引っ張り力は常時80Kg前後あります。
多くのギターはこのテンションに耐えられず、ブリッジまわりが膨らみ、サウンドホール周りが凹む現象が起こります。
これは、ブレージング強度が弱いためで、良く鳴るギター程なりやすいです。
予防のためには 演奏後は弦を緩める に尽きます。
一旦膨らみ癖がつくと不治の病と言われています。
が、修理の方法はあります。

このギターは楽器の機能が果たせない程変形していました。
そこで、まず独自の方法で変形癖のついたトップ板をまっすぐに直し、
変形具合から強度の必要な場所、ブレージング形状を考え
サウンドホール回り、Xブレージング横、ブリッジプレート回りに3mm×5mmの細いブレージングを8本足しました。
現在、ライトゲージでも安定していますが、音的にこのギターには細いゲージ
が合ったのででフォスファーカスタムを張っています。
ハカランダ特有のカキンとした固めの音と深いサスティーンが魅力で
上質で上品な音が出ています。
手元に置いておりますので、トップ浮き修理後の鳴りの損傷のない確認と
すばらしい操作性調整をご確認いただけます。

過去20本近くトップ浮き修理していますが、修理直後は一時鳴りが悪くなりますが、2~3時間弾くと以前の鳴りが取り戻せ、ギターの健康状態も維持できています。
状態にもよりますが、15000円前後で修理しています。

ブリッジはがれ、ブリッジ製作取り付け
ブリッジプレート劣化修理

ピッチ調整、サドル製作

全体調整、弦高下げ

            修理費用総額    25000円
 

Vanessa Burguet アルトギター 音詰まり修理

<修理内容>
弦高下げ
オクターブピッチ調整(サドル調整)
音詰まり修理 4箇所
   
特定のポイントだけボリュームが低い、サスティーンが無い、
などの音詰まりの見られるギターは結構多いです。
これはその場所のフレット溝が深く、指板の中でフレット足が
浮いていて振動を伝えきれないのが原因の場合がほとんどです。
フレットを抜き溝を埋めて打ち込み直しします。

フレットすり合わせ  
全体調整

           修理費用総額  10000円

K.YAIRI YW28 ネックねじれ、ネック反り修理

<修理内容>
ネックねじれ アイロン矯正
高音ビビリ フレットすりあわせ
ピックガード製作交換
FISHMAN VT 取り付け
サドル製作 ピッチ修正
弦高限界下げ
全体調整


        費用総額  18000円 + Fishman VT 23000円


リペア価格

弦高下げ・オクターブ調整
  ・ナット、サドルを削り、弦高を低くして
   弾きやすく調整します
   -¥ 3,000~

  ・ナット作り直し(牛骨) 弦高調整
   -¥ 4,000~ 

  ・サドル作り直し(牛骨) 弦高調整
   -¥ 3,000~

  ・ナット、サドル作り直し 弦高調整
   -¥ 9,000~

ネック
  ・ネック反り修正
     ロッド、ナット、サドルで直る物
   -¥ 3,000~

  ・フレット抜き 指板削り
     抜いたフレット打ち直し
   -¥ 15,000~

  ・リフレット 指板削り
   -¥ 15,000~

  ・フレットすり合わせ 山付け
   -¥ 3,000~
  
  ・アイロン矯正
   -¥ 5,000~

ブリッジ
  ・ブリッジ浮き 再接着
   -¥ 5,000~
  
  ・ブリッジ製作(形によります)
   -¥ 5,000~

ボディー
  ・クラック補修 簡易塗装
   -¥ 5,000~
  
  ・打痕補修
   -¥ 3,000~   
  
  ・ブレージングはがれ接着
   -¥ 3,000~

ピックアップ取り付け
   -¥ 2,000~


実際のリペアでは、修理が複数になることが多く
どこまで直すかをよく話し合い
見積もりを出す必要があります。

価格表は目安です。

楽器をお持ちいただければお見積もりいたします。
お気軽にお問い合わせください。

調整について

北川木工で販売されているギターは全て調整されています。

弾きやすいように弦高を下げ
音痴にならないように仕立てています。


通常弦高を下げると、
音量が下がりフレット音痴になったり、
使う弦の太さによってビビリが出たりします。

そのギターの持つ音量を損なわず調整するには、

特殊な道具と知識、
経験と時間

が必要です。


国産、外国産を問わず10万円以下の量産ギターは、
コストの問題から調整されないまま
出荷されることがほとんどです。

「ギターを始めたけれどFのコードがおさえられないし・・
あきらめました。」
よく聞く話です。
これはそのギターが弾きにくいためです。
これからギターを始める人ほど
弾きやすいギターを持つべきです!

初心者用として売られているギターを
上手い人に弾かせると
皆さん使い物にならないと顔をしかめます。

上手い方々のギター選びの条件にも<弾きやすい>ということが必ず入ります。

北川木工について

北川木工では、アコースティックギターの修理、レストア、調整と 調整済み中古、ビンテージギターの販売を生業としています。

販売は、工房での直接販売の他、楽器店、ライブハウスなどでの委託販売もやっています。

私自身もつたないプレイヤーで好きモノのため、楽器店ではなかなかお目にかかれないような品揃えで常時60本程の在庫あり、遊びに来ていただけば楽しんで頂けると思います。

この度お客様からのご要望多く、ブログを立ち上げる決意をしましたが、
さてさて、ギター修理より難しい世界に来たようです。

これから、在庫状況アップし、日々の修理ブログなど掲載できればいいなと思っています。

よろしくお願いします。


地図↓


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